ED治療薬(PDE5阻害薬) ←|→ EDのセルフチェック
■ ED治療薬は何をするのか
ではED治療薬は具体的には一体何をする薬なのか?
一言で表現すると
「PDE5(ホスホディエステラーゼType5)」の作用をブロックする薬です。
ホスホディエステラーゼ(PDE)は全身の臓器や器官の存在する酵素で、7種類(Type1〜Type7)まで確認されています。
例えばType1であるPDE1は脳、心臓、腎臓、消化器血管などに多く分布しています。
また、男性の陰茎海綿体にはPDE2、PDE3、PDE5が分布していますが、特に
PDE5が高濃度で存在しています。
ED治療薬の成分である、クエン酸シルデナフィル(バイアグラの成分)、バルデナフィル(レビトラの成分)、タダラフィル(シアリスの成分)はPDE5の作用を選択的にブロックします。
つまり陰茎海綿体に多く存在する
PDE5を狙い打ちでブロックする薬ということです。
タイプ 組織分布
PDE1 脳、心臓、腎臓、肝臓、骨格筋、血管、消化器平滑筋
PDE2 陰茎海綿体、副腎皮質、脳、心臓、腎臓、肝臓、消化器平滑筋、骨格筋
PDE3 陰茎海綿体、心臓、血小板、血管、消化器平滑筋、肝臓、腎臓
PDE4 腎臓、肺、肥満脂肪、心臓、骨格筋、血管、消化器平滑筋
PDE5 陰茎海綿体、血小板、骨格筋
PDE6 血管、消化器平滑筋、網膜
PDE7 T細胞、骨格筋
■ ED治療薬はPDE5がcGMPを分解する働きを阻害するもの
バイアグラ、レビトラ、シアリスはPDE5がcGMPを分解する働きを阻害する機能しかありません。
つまりは、勃起を持続させる働きです。
勃起を促進する機能は持っていません。
しかし、実際にはED(勃起不全)を改善させます。不思議で謎の部分です。
PDE5が阻害されて、相対的にcGMPが増えて勃起に至ると考えられていますが、謎は残っている様です。
■ バイアグラ、レビトラ、シアリスが何故効くのか?
これは勃起の仕組みから説明する必要がありますが、それは別章を参照して頂き、ここでは
簡潔に説明します。
男性は場所や時間に構わず勃起していることは有りません。TPOやシチュエーションに関係なく勃起する事も有りません。
またパートナーとのコトが終ったら勃起は自然と元に戻ります。
つまり、次の2つを行なっていることになります。
・必要に応じて勃起させる
・必要無くなったら勃起を終らせる
1.必要に応じて勃起させる
これには公害で有名になった
1酸化窒素(NO)と、サイクリックグアノシン1リン酸(
cGMP)が関与しています。
性的興奮が起こると神経終末から1酸化窒素(NO)が放出され、陰茎動脈を刺激して内皮からもNOが分泌されます。
このNOがある酵素を刺激してcGMPを作り、cGMPが海綿体の平滑筋を弛緩させます。
すると血管が弛緩して血液が大量に流入して勃起します。硬く大きくなった海綿体は静脈を
遮断して勃起が継続されます。
2.必要無くなったら勃起を終らせる
パートナーとのコトが終ったら勃起を終らせる必要があります。
この働きをするのがPDE5です。
PDE5はcGMPを分解する酵素です。この酵素がcGMPを分解することで勃起が終了します。
ED治療薬は、勃起を終らせる事をブロックする薬です。
つまり、PDE5の働きをブロックして、cGMPが分解されるのを防いで、勃起を持続させる薬です。
勃起促進の作用は有りません。
◆ ED治療薬の正式名称はPDE5阻害薬
結論から先に言うと「ED治療薬はサイクリックGMPが分解されるのを防ぐ薬」です。
ED治療薬の正式名称はPDE5阻害薬といいます。
PDE5というのは、サイクリックGMP(c-GMP)を分解する酵素の名称で、人間の体の中にあります。
PDE5はPhosphoDiestErase type5と呼ばれています。ホスホジエステル結合を分解する
酵素の一種で、ホスホディスエステラーゼ(PDE)と言います。
このPDEはタイプ1〜7が現在まで見出されていて、各々分布する内蔵や組織が決まっています。
人間の陰茎海綿体に高濃度で存在するのがタイプ5であり、PDE5がc-GMPを分解します。
一酸化窒素(NO)が血管に作用して血管内皮細胞から産生される物質がサイクリックGMPです。
血管を拡張させて勃起を維持する働きをします。この事は前の章で説明した通りです。
従って、PDE5がこのサイクリックGMPを分解してしまうと、血管の拡張が十分なされず勃起しにくくなります。
また、勃起したとしても、途中で分解が進むと勃起を維持出来なくなります。
◆ PDE5の働きを阻害してc-GMPがより働く様にしたもの
そこで、PDE5の働きを阻害(ブロック)してサイクリックGMPがより働く様にしたのが、ED治療薬です。
さらにED治療薬には、PDE5の働きをブロックするだけでは無く、NOそのものを増やす働きがも有ります。
前章で説明した勃起のメカニズムは下の@〜Cです。思い返して見て下さい。
@ NOが血管や筋肉に作用してサイクリックGMPが出来る
A 出来たサイクリックGMPが血管や筋肉を弛緩させる。
B 弛緩した血管から血液が大量に送り込まれる
C 勃起する
上の@〜Cの仕組みで勃起をし、維持できるのですが、PDE5がサイクリックGMPを分解して勃起を阻害してしまいます。
ED治療薬はPDE5の作用をブロックする薬で、正式には「PDE5阻害薬」と言い、
バイアグラ、レビトラ、シアリスとも同じ「PDE5阻害薬」です。
ED治療はPDE5の働きを封じ込めるもの
ED治療薬の働き
@PDE5の働きを阻害し、サイクリックGMPがより良く働
く様にすることで、勃起の働きを正常化する
(ED治療薬は「PDE5阻害薬」と呼ばれる理由)
ANOそのものを増やす
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