バイアグラ誕生は怪我の功名

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ED治療薬

革命的ED治療薬バイアグラはED治療目的では無かった

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レビトラ シアリス バイアグラ

レビトラ シアリス バイアグラ

ED治療の内服薬として最初に世に出たのがバイアグラですが、怪我の功名から生まれています。

◆ 期待してした狭心症に効果は確認されなかった

ED治療のバイアグラは、1992年ファイザー社のイギリス研究所で開発が始まりました。
目的は狭心症で、ED治療は目指してはいませんでした。

クエン酸シルデナフィルと言う化学物質が、狭心症に効果があるかどうか、臨床試験が行われていました。
心臓の血流量を増加させる作用がクエン酸シルデナフィルに期待が掛かっていた為です。

しかし、臨床試験を進めても、期待してした様な効果は確認されませんでした。


◆ ところが、この際に妙な事が起こりました

臨床試験を受けた男性のうち、この薬を手放そうとしなかった人達が大勢現れました。
効果の無い薬を欲しがる事など前代未聞のことです。

しかし、何故そんな事をするのか、ファイザーの研究員達はすぐに気が付きました。
この薬を飲むと、陰茎の勃起が促進される事を被試験者達が感じていたからだと・・・EDが改善される?。

クエン酸シルデナフィルは、心臓に流れ込む血液を増やす効果は無かったが、陰茎に流れ込む血液をかなり増やす事が出来たのです。
これは、思いもしなかった大発見。ED治療に使えるのでは?。


◆ 副作用が主作用を超える効果として注目

ファイザーの研究員達は、これが、ED治療に使う薬になり得ることを直感しました。

そしてED治療用としての本格的な研究が始まり、この薬をバイアグラと命名しました。
バイア(vigor)=精力、ナイアガラ(Niagara)=あの有名な滝、の合成語でありナイアガラ瀑布の様に凄まじい精力を生み出すと言う意味の様です。

結局、研究開発に4年間、臨床試験者4000人、開発費5億ドルを掛けて完成し1998年の3月にアメリカのFDAから、ED治療の専用薬として正式に認可されました。

こうして、世界で始めて、ED治療内服薬として認められることになりました。


◆ 当時の厚生省はバイアグラをスピード承認

厚生省は1999年1月、ファイザー製薬が申請していた男性のED治療の薬「バイアグラ」の製造販売を正式に承認しました。承認申請から僅か半年の異例のスピード承認です。

個人輸入によって、ED治療用に服用している人も多く、心臓停止などの副作用で死亡している人もいる為、混乱を避けるために速い承認になったと言われています。

しかしED治療で使い方を誤ると、様々な副作用が表れることが予想されたため、全国の調剤薬局や販売業者に通知を出して指示しています。

また、ファイザー製薬に対して、処方上の注意を書いた医師向けのハンドブックや冊子の作成を指示しました。
こうしてバイアグラは、医師の処方箋が必要な「ED治療の要指示薬」として、1999年3月から、販売が始まりました。

医師の処方箋が必要なため、一般の薬局やドラッグストアで買う事は出来ません。
レビトラやシアリスも同様に「ED治療の要指示薬」です。

ED治療の医薬品は医師の診断と処方を受けた人だけが、病院や調剤薬局などで購入できる事になっています。


◆ ED治療の医薬品だから医療保険非適用と決定

ところで、この際、ひとつ大きな問題がありました。

それは、バイアグラをED治療の医療保険薬として認めるかどうかと言うことです。
通常なら、医師の処方のもとで使われる治療薬は、医療保険が適用されます。

但し、適用されるのは、あくまで「治療用」の医薬品であって、それにED治療が当てはまるかどうかが、議論の的でした。

ファイザー社は「男性のEDは深刻な病気、ED治療が必要」と位置づけ、医療保険の対象にする事を求めていました。

一方の厚生省は

・この薬の目的はED治療、公的医療保険の対象になじまない
・EDは放置しても命にかかわる事は無く、ED治療は健康保険法に基き給付が受けられる病気の治療には当たらない

という判断を下しました。

またEDは、加齢に伴う自然な生理現象という面が有ることや、バイアグラが極めて短時間しか効果が持続しないことなどもあって、結局、医療保険の適用を認めませんでした。

バイアグラは、生活の質の向上を目的にした「生活改善薬」に当たると言うことになりました。


◆ 現在も混合診療は認められていません

EDが、動脈硬化や糖尿病、腎臓病などによって起こっている場合、原因の病気の治療に対しては医療保険が適用される事になっています。

しかし現在の制度では、保険診療と自由診療を組み合わせた「混合診療」は認められていません。

そのため、バイアグラをはじめとするED治療の薬が処方された場合、もとの病気の治療も含めて、診療行為全てに対して医療保険が適用されず、全額自己負担が生じてしまう不合理が出るのが実態です。